科学準備完了のAIへ！TPC25が描く未来の道筋とは

TPC25では、最前線のAIを科学的ツールへと変える研究者が集まった。
RIKENの松岡聡氏が、科学問題に特化したモデルの重要性を強調した。
量子コンピュータとAIの融合による新たな科学発見の可能性が示された。

TPC25のプログラムでは、各分野の研究者が集まり、最前線のAIがどのように実用的な科学的ツールへと進化するかが議論された。RIKENの松岡聡氏は、商業用モデルが科学的作業の出発点に過ぎないと説明した。データ処理やモデル設計、ワークフローの整理において、いくつかのギャップを埋める必要があると述べた。

松岡氏は、RIKENのインフラについても言及した。世界最速クラスのスパコンFugakuは60,000のCPUノードを持つが、今後は約1,500のNvidia Blackwellアクセラレーターを搭載したGPUコンプレックスも追加される予定である。さらに量子システムも運用しており、将来的にはゼタスケール（10^21 op/s）を目指している。

また、松岡氏は科学データを理解できるモデルが必要であり、商業用生成モデルは物理学や化学、生物学には不向きであると警告した。現行のトークナイザーは領域特有のシンボルや長いシーケンスに対応できず、科学情報を処理するための特別な機能が求められる。RIKENは、メモリの使用量を減らし、科学データをよりよく理解する方法をテストしている。

一方、Quantinuumのスティーブ・クラーク氏は、量子コンピュータとAIの融合による新たな科学発見へのアプローチを紹介した。AIを活用して量子計算を最適化する手法、量子システムが新しいAIを生み出す可能性、そして量子コンピュータから生成されたデータで機械学習モデルを鍛える方法が提示された。これらの取り組みにより、量子コンピュータの課題が克服される可能性がある。

TPC25は、科学界における強固なAIエージェントの存在を目指す重要なイベントとなった。これにより、科学的な仮説生成や実験計画が加速されることが期待されている。